札幌市東区の医師が推薦する「はり専門」の鍼灸院

北斗病院との共同研究レポート

" 臨床研究 "

2018年5月12日

 

今回は、当院が整動協会のもと、参加している北斗病院との共同研究について紹介していきたいと思います!!

 

この研究は、「はり治療」の効果を科学的に証明しようというものです。

方法としては、日本に数台しかないMEGという脳磁場を計測する機器を使用することで鍼治療の効果を立証しようといもの。

 

他にも北斗病院の系列である介護老人保健施設の利用者さんに便秘の治療を行い、腸の動きが変わるのか排便が改善されるかを研究しています。

看護師さんや介護士さんに排便回数や期間などの客観的なデータをとっても貰い、はり治療の効果を証明しようと試みているものです。

 

ということで、まずは、この研究の発案者でありプロジェクトリーダーである 医師 加藤先生をご紹介します。

 

 

 

 

加藤容崇(カトウ ヤスタカ)先生

北斗病院 病理・遺伝子診断科 病理医

 

話をしていても頭の回転が速いのが伝わってくる反面、誰と接していても対応がフラットで、私たち鍼灸師にも紳士に優しく対応してくださる先生です。

と勝手に私の印象で加藤先生を語っても伝わらない部分が多いと思うので本人にインタビューしてきました。

 

—–本題(はり治療の研究)の話に入る前に加藤先生が医師を志すきっかけを教えてください。

 

加)そこから聞きますかー(笑)

 

永)個人的にも聞きたいところなので教えてください(汗)

 

加)2歳になる頃に母が乳がんになって、祖父母に育てられたんです。

 

その後、祖父も肺がんになって治ることなく、亡くなっちゃたんですよ。。

 

父が消化内科の町医者をしていたので、医者っていうものはそもそもなんでも治せるものかなーと子供ながらに思っていたのですが、

治療しても治ることなく、祖父は死んでしまいました。

 

それがショックで、父親に何をしたら治せるようになるの??っと聞くと

 

「研究をするしかない」といわれました。

 

それなら、自分が医者になって研究をしよう。と思ったのがキッカケですかね。

 

永)では、父親にお医者さんになるよう言われてなったワケではないのですね??

 

加)違いますね。最初は近くに住んでいた大工さんが家を建てるのを見て

「スゲーこんなデケーの作ってる!!なんてカッコイイんだ。」

って憧れて大工になろうと思って犬小屋とか作ってましたから(笑)

—-すごい経歴をお持ちだとお聞きしたのですが、なぜ帯広の病院で勤務されているのですか?

 

加)一応、慶応大学の助教も兼任していて医学部の教員でもありますよ。

 

永)慶応、、な、なるほど、、、北斗病院に入ることになった経緯をおしえてください。

 

加)もともとハーバード大学で研究をしていて、世界でもトップレベルの巨大な病院で進んだ研究ができます。

  ですが、その反面小回りが効かないというか、自分がこんなことをやりたいなーと思うようなことが

  色々な人がいる兼ね合いからできづらかったんです。 

 

上司にやりたいことを伝えていたのですが、根本的なやりたいことが解決できずに

アメリカで2年間がたち限界を感じはじめました。

 

次の展望は「研究の臨床応用」をやろうと考えいたのですが、臨床検体とのアクセスが悪く悩んでいました。

ちょうどその頃、出張でボストンに来ていた北斗病院の西原広史先生会う機会がありました。 

 

その相談すると「じゃあ、北斗でやる??」という話になり、北斗病院理事長の鎌田一先生に会い

自分のやりたいことをプレゼンすると「うちでやればいいじゃん。協力するよ」って

いってくれて北斗病院に来たのがキッカケですね。

 

永)そんなスピーディーに話が進んだんですね、、、すごい(汗)

      研究者は研究ばかりで臨床とは遠いイメージがありますが先生は違う感じがしますね。

 

加)私は病理診断をしていたので、臨床との繋がりがありました。

  今までは「基礎研究」と「臨床」は分離されていましたが、研究が進み最近では、トランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)

  といって2つを橋渡しするような研究が多くなっています。

  なので、今は「基礎研究」と「臨床」が重なりあって近くにいるのが今の医学研究になります。

 

永)研究と臨床が一緒に行われるようになってきているんですね。

 

 —-「はり・きゅう」を知るキッカケを教えてください。

加)北海道大学を卒業し、病理学教室にいて北海道鍼灸専門学校でアルバイトをしていて、、

  学生に講師として生理学を教えていました。

  そういったことで、親和性というか鍼灸をなんとなく知っていた感じです。

 

谷地先生(整動協会 副代表)が北大の研究室に来て修士課程をとっている時に

知り合いになりその後、谷地先生のブログを見ていてエキセントリックな

画像をみて何やっているんだろうと気になってました(笑)。

 

永)えーーー!?私の母校にいたんですね。谷地先生のブログ画像はインパクトありますよね(笑)

 

 —-鍼治療の効果を科学的に証明しようと思ったのはなぜですか??

 

加)日本に帰ってきて北斗でガンの遺伝子診断を行っているんですが、

  ステージ4になると皆さんが強い痛みで辛そうにしていて、モルヒネなど強い薬を使うと意識レベルが

  下がってしまうし、何とかならないかなーとボンヤリ考えていました。

 

そういえば、アメリカには病院に鍼灸師がいたなーと思って、日本では病院にいる鍼灸師を探すとほとんどいませんでした。

ガンの患者さんに鍼治療を受けてもらうためにはどうしてらいいのかと調べたら科学的な根拠がないからだとわかったんです。

 

そしたら、科学的な根拠をとる為にはどうしたらいいのかなーと谷地先生のエキセントリックな画像を見ながら考えてたら、

医局で隣の席にMEG(脳磁場を計測する機器)のとスペシャリスト鴫原 良仁先生がいて「あっ!MEGがあった。」

と思いつきました。

 

鴫原先生に「ちなみにこんなことできますか?」と聞くと「面白いですねーやりましょう。」となって

3秒くらいでやることが決まりしました(笑)で、やりはじめましたね。

 

永)3秒って、、、

 

※こんなに研究が早く決まることはないそうです。

 

—-鍼治療をしった時の第一印象を教えてください。

加)「本当に効くんかい!こんな細い鍼で」と思いました。

 

永)ですよね(汗)実際に受けられたことはありますか??

 

加)先日、谷地先生に花粉症に対して鍼治療をしてもらいました。 

 

永)どうでしたか??

 

加)「ほんとに変わるんだ(笑)」と思いましたね。痛くもありませんでしたし。

—-この研究の最終的な目標を教えてください。

 

加) 鍼灸はかなり有効なことが多いと思うんです。きちんと有効なものを明確なものにして

   「医療として病院の中で、できるようにしてほしい」というのがありますね。

 

きちんと有効なのであれば、病院で行われている他の治療方法と比較してどっちが優れている

のかを客観的に評価して、鍼灸治療が上であれば、それが標準であるべきであると思います。

 

まず、比べられる土俵にも立っていないのが現状なので、とりあえず同じ土俵に立って同じ尺度で調べてちゃんと

ほかの治療方法と対等に比較される土壌をつくりたいですね。

 

将来的には、「薬物治療」「放射線治療」など、と同格に「鍼治療」が入ってきて優れているところは、

最初から鍼をやるというようにしたい。

 

永)私も早くそのように「鍼治療」が認めれればと思います。

  本当は鍼灸師がこのような研究をはじめられればと考えますが、現実的な予算や環境づくりは難しいものがあると思います。

  そんな中、医師である先生がこのような研究をして頂き、本当にありがたく思います!!

 

インタビューに応じて頂きありがとうございました。

 

この記事を書いた人

亮鍼灸院 

院長 永田亮太(ながたりょうた)

 

36歳 はり師・きゅう師、柔道整復師の国家資格を持っています。

高校卒業から治療院で働きながら学校に通い資格を習得。

臨床経験は13年になります。 症状を改善された患者さんの笑顔が大好きな治療家です!!

 

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