帯広・北斗病院と共同研究する、札幌のはり専門の鍼灸院

発症直後に鍼灸を受けてよいか|顔面神経麻痺の急性期と鍼灸

公開日:2026年10月3日
執筆・監修:鍼灸師 永田亮太(亮鍼灸院 院長)

「発症したばかりだけれど、鍼を受けてもいいの?」「病院の薬を飲んでいる最中でも大丈夫?」――発症直後の方からいただくことの多いご質問です。このページでは、顔面神経麻痺の発症直後(急性期)に鍼灸を受けることについて、診療ガイドラインでの位置づけと、受ける前に知っておいていただきたいことをまとめました。

発症直後は、まず医療機関の受診を最優先に

顔が急に動かしにくくなったら、鍼灸院より先に、耳鼻咽喉科などの医療機関を受診してください。脳の病気など他の原因がないかの確認と、ステロイド薬などによる早期の治療が大切です。以前に顔面神経麻痺を経験した方が再び発症した場合も同じです(「顔面神経麻痺の再発について」)。鍼灸は、病院での治療の代わりになるものではありません。

こんなことで迷っていませんか

  • 病院で治療を始めたが、ほかにできることがないか探している
  • 発症からまだ数日なのに、鍼を受けてもよいのかわからない
  • 薬を飲んでいる間に鍼を受けても問題ないか心配
  • 早く始めた方がよいのか、落ち着いてからの方がよいのか迷っている

発症直後(急性期)に大切なこと

顔面神経麻痺の発症直後は、神経の炎症やむくみが進んでいく時期です。この時期の治療の中心は、医療機関でのステロイド薬などによる治療です。ベル麻痺では発症72時間以内のステロイド内服が強く推奨されており[1]、ハント症候群でも治療開始のタイミングが回復に関わるとされています[2]。

まずは医療機関で診断と治療を受け、そのうえで「並行してできること」として鍼灸を検討していただくのが、当院の基本的な考え方です。病気の詳しい説明は「ベル麻痺とは?」「ベル麻痺とハント症候群の違い」をご覧ください。

ガイドラインでの鍼治療の位置づけ

日本顔面神経学会の『顔面神経麻痺診療ガイドライン 2023年版』では、「鍼灸は麻痺の早期回復に効果はあるか」という急性期の臨床課題が検討され、「弱く推奨する」とされています[3][4]。以前の版では「推奨しない」とされていたため、大きな変化といえます[4]。

ただし、推奨の強さは「弱い」ものです。すべての方に効果があるという意味ではなく、医療機関での治療に加える選択肢のひとつとして位置づけられています。また、米国のガイドラインでは鍼について推奨を決められないとしており[1]、評価は国や時期によって分かれています。

発症直後に鍼灸を受けるときの注意点

  • 病院での治療・通院は続ける:処方された薬を自己判断でやめたり、再診を先延ばしにしたりしないでください。
  • 受診状況を伝える:発症日、診断名、服薬の内容、検査結果(柳原法など)を鍼灸院に伝えてください。
  • 主治医に伝える:鍼灸を受けていることは、主治医にもお伝えいただくと安心です。
  • 麻痺が進んだら受診を優先:発症後しばらくは麻痺が強くなることがあります。急に悪化した、耳の痛みやめまいが出てきたといった場合は、医療機関へ相談してください。
  • 顔を強く動かしすぎない:この時期は、無理に顔を動かす練習より、目の保護や休養が大切です。目のケアは「目が閉じにくいときのケア」をご覧ください。

ENoGの検査を受ける時期について

麻痺が強い場合、発症から1〜2週間ごろにENoG(誘発筋電図)という検査で神経の状態を確認することがあります。検査結果は、回復の見通しやその後の過ごし方を考える材料になります。詳しくは「ENoGとは?顔面神経麻痺の予後を考える検査」で解説しています。

亮鍼灸院の考え方

当院には、発症から数日のうちに来院される方もいます。発症直後の方には、病院での治療を最優先にしていただいたうえで、並行して施術を行っています。

初回には、発症日、病院での診断と治療内容、服薬の状況、検査結果をうかがいます。施術では顔の状態に加えて、首・顎・鎖骨まわりの緊張や呼吸の状態など、体全体の状態を確認します。この時期は、首や顎まわりの緊張をゆるめることを中心に、刺激が強くなりすぎないよう施術内容を組み立てています。

また、目の保護や、顔を強く動かしすぎないことなど、この時期の過ごし方もお伝えしています。経過には個人差があり、施術による変化を保証するものではありません。

発症4日後から施術を始めた方の経過は「重症例(ENoG12%)の顔面神経麻痺の症例」でご紹介しています(経過には個人差があります)。当院の施術内容や料金は「札幌で顔面神経麻痺の鍼灸をお探しの方へ」をご覧ください。

執筆・監修

鍼灸師 永田亮太

  • 亮鍼灸院 院長
  • 明治国際医療大学大学院 在籍
  • はり師・きゅう師・柔道整復師
  • 日本顔面神経学会「顔面神経麻痺リハビリテーション技術講習会」認定試験 合格(2025年8月)
  • 2024年度 日本顔面神経学会にて症例発表

院長プロフィールを見る →

参考文献

  1. Baugh RF, et al. Clinical practice guideline: Bell's palsy. Otolaryngol Head Neck Surg. 2013;149(3 Suppl):S1-27. [PubMed]
  2. Murakami S, et al. Treatment of Ramsay Hunt syndrome with acyclovir-prednisone: significance of early diagnosis and treatment. Ann Neurol. 1997;41(3):353-357. [PubMed]
  3. 日本顔面神経学会 編.顔面神経麻痺診療ガイドライン 2023年版.金原出版;2023.
  4. 粕谷大智.顔面神経麻痺診療ガイドライン2023年版における鍼灸の役割と可能性.全日本鍼灸学会雑誌.2023;73(4):277-282. [J-STAGE]

※ 本ページは顔面神経麻痺についての一般的な情報提供を目的としたもので、医療機関での診断・治療に代わるものではありません。

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亮鍼灸院では、病院での診断・治療内容や発症からの経過を確認しながら、施術方針を考えています。病院での治療中の方、発症から時間がたって後遺症が気になる方も、ご相談ください。

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